怖い話 センサーライトの怖い話

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わたしの家の玄関には、センサーライトがついていた。

センサーの前を人が横切ると自動で電気がつく、アレだ。

別に人間じゃなくても、センサーを遮るものがあれば、パッと電気がつく。

自宅は田舎で、周囲には空き家が多く、おまけに裏手は山で、隣は墓場。夜になると真っ暗なものだから、このライトには重宝していた。

夜半に尋ねてくる者があれば電気がつくし、遅くに帰宅した時なども暗がりで鍵を探す必要がない。

ただ、常々不思議に思っていたことがあった。

このライトは、誰もいないのに頻繁に電気がつくのだ。

初めは、猫や野良犬なんかが通り過ぎたのに、反応しているのかと考えた。あるいは、風に飛ばされたビニールなどに反応しているのか、とか、木の枝葉がセンサーを遮ったのだろう、とか、夏などは夜になるとコウモリがよく飛んでいるので、それが原因じゃないか、とか、家族でアレコレ予想を立てた。

猫などの獣たちが原因であることは十分考えられる。おそらく、原因の半分以上はこれだろう。風が強い日は、風に飛ばされた物に反応しているということもあり得る。木の枝葉については、センサーの近くにそういう物がないので却下された。夏ならば、コウモリも原因のひとつかもしれない。

だが、風がなくても、獣がいなくても、コウモリが活動できる夏じゃなくても、このライトは頻繁に、怪しく灯ることが多かった。

例えば、家族やわたしが玄関付近にいるとき、度々つくことがある。わたしたちの立ち位置はセンサーに感知されない場所だ。無風で、ゴミも飛んでいないし、猫だっていない。コウモリも飛んでない。なのに勝手に電気がつく。

あるいは、夜、玄関の戸締りをしようすると、パッと電気がつく。自宅の玄関は、透きガラスと透明なガラスが交互にはめられているので、屋内から玄関の様子がよく見えるのだが、電気がついたことに驚いてガラス越しに外を確認しても、誰もいないし、何もない。まるでわたしたち家族が、そこにいるときを見計らってつくみたいだった。

あんまりそういうことが起こるので、家族は気味悪がり、ライトが壊れているのかもしれないから取り換えようということになった。

最初のライトは、わたしがホームセンターで買ってきたものを自分で取り付けた。二度目のライトは、業者に頼んで取り付けてもらった。三度目のライトは、やっぱり頻繁につくから不良品だという苦情を言って、業者に取り換えてもらった。

それでもやっぱり、不可解に電気が灯る。

かと言って、取り外してしまうと不便なので、長らくそのまま使っていた。だが、あることをきっかけに、取り外すことにした。

その日、わたし以外の家族は、みんな外泊する予定だった。家に帰っても誰もいないので、わたしは仕事帰りに友人と食事をして帰った。

自宅に戻ったのは10時ごろ。田舎住まいとあり、周囲はすでに真っ暗闇だ。自宅周辺にあるものと言ったら、畑と、空き家と、墓地と山。

おまけに、今日は朝から自宅も空き家。
明かりがともる要素は何もない。

駐車場に車を停めて、車内で家のカギを取り出してから、わたしは車を離れた。

その時。

玄関のセンサーライトがついた。

わたしはまだ車の近くにいて、センサーが反応するはずはない。突然ついた灯りにドキッ・・としたが、こういう時は便利なものだと、呑気に考えた。

悠々と鍵を開けて、家に入った時だった。わたしが後ろ手にドアを閉め終えた瞬間、

バンッ・・・!!!

と、玄関のドアに外から体当たりするものがあった。

当然、わたしはその音と衝撃に肝をつぶした。音はかなり大きく、ドアは体当たりした瞬間、ガタンッと弾かれたように揺れたのだ。

こんな夜にいったい何がぶつかったのか、恐る恐るガラス越しに外を確認したが、玄関には何もいない。思い切って外に出て、周囲の庭をよく確認したが、体当たりした犯人は確認できなかった。

よりによって家族全員が留守の晩に、気味が悪い。気味が悪いが、仕方ない。これ以上の犯人探しは無理だろうし、考えても無駄なことだと言い聞かせ、わたしは風呂を済ませて布団に潜り込んだ。

寝る前に、わたしはいつもアラームをセットする。目覚まし時計ではなく、携帯のアラームを1分おきに20分間鳴り続けるようセットしている。

その時も、電気の消えた寝室で布団にあおむけに寝てから、携帯をピッピ操作していた。操作しながら、うっかり違うボタンを押してしまったのか、思いがけずカメラが起動した。急に携帯画面に映し出された暗い室内。わたしは慌ててカメラを終了させようとし・・・思わず携帯を放り出してしまった。

画面に映っていたのだ。

天上近くに浮いた、わたしを見下ろす、老人の首が。

わたしはその晩、リビングで寝た。どうにも寝室で眠れそうになかった。翌朝、放り出された携帯を回収しに恐々寝室へ戻ってみると、当たり前の話だが、老人の首なんかなく、携帯電話はカーペットの上に転がっていた。そして、壊れていた。放り出した時、特に壁にぶつけた覚えもないが、携帯の電源は入らなかった。

家族にこの話をすると、みんな馬鹿にしたように笑った。だが、みんなが口をそろえて言った。

・・・玄関のライトは取り外そうよ。

本当にあった、怖い話。

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