-
峠の茶屋の怖い話
気持ちの良い山道に影がさし始め、賑やかなアブラ蝉がひぐらしの響きに変わる頃、その男は峠のあたりに差さしかかっていた。買ったばかり黒いTシャツを着て、お気に入りのスクーターに乗り、少しばかり遠出をしようと家を出て、すでに何時間も経っていた。... -
怖い話 お墓参り
親戚のおばさんが、毎日墓参りするようになった。 数年前、病気で他界したご主人の墓前で、おばさんは毎日、真剣に手を合わせていた。 近所の人や、親戚は、よほどご主人のことが大切だったのだろうと、信心深いおばさんのことを感心した。 だが、わたしは... -
怖い話 除夜の鐘の鳴る時
6年前、わたしは現在の家に引っ越してきた。家の隣はお寺で、敷地を隔てる塀の向こうは墓地になっている。隣が墓地なので平日は静かで良い所だ。小さな寺ではあるが地域住民とのふれあいを大切にしているらしく、大晦日には近所の人たちがみんなで除夜の鐘... -
不思議な話 別れの指輪?
神社に勤めていた頃の話。 わたしが勤めていた神社は地元でも有名な大きな神社で、毎日色んな参拝客が訪れる。観光バスでやってくる団体もいれば、個人で参拝する人もいる。 個人で参拝する人の中には社に御供物を捧げる人もいて、そのほとんどはお酒を奉...
1