浮き世の怖い話 病院は選ぶべき

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わたしの生まれ育った町に、地元でも評判のヤブ医者がいた。そこは内科・外科・小児科・リハビリテーション科とあって、もちろん医師も何人かいる。その病院に勤務する医者の一体ダレがヤブ医者なのか知らないが、とにかくどの科にかかっても良い評判は聞かれなかった。

ある冬の朝、親戚のおばさんが交通事故を起こした。アイスバーンにスリップして、タイヤが側溝にはまり、そのままの状態で電信柱に激突。かなりスピードを出していたらしく、衝突の勢いでおばさんはフロントガラスを突き破って電信柱に激突した。

その日は休日で、もちろん病院も休みだ。運悪く、救急医は悪評高い例の病院だった。出血が止まらず危篤状態ということで、親戚一同が病院に集まった。その中のおじさんがポツリと言った。なんでこんな病院に入院させたんだ。こんなとこにいたんじゃ助かる者も助からない。

みんなそう思っていたのかもしれない。ともかく、わたし自身はその意見に賛成だった。今日の救急医はここで、救急車がこの病院に運んでしまったんだから仕方ないじゃないか、誰かがそう言い返した。外傷も酷いが、おばさんの一番致命的な怪我は脾臓だった。脾臓からの出血が止まらないことには死んでしまう。わたしたちが集まった時にはすでに手術が始まっていた。

手術が始まって4時間も経った頃、手術を担当した若い医者がやってきて、結果を報告した。

「出血の止まらなかった脾臓を無事に摘出したので、血は止まりました。手術は成功です。麻酔から覚めるまで数時間かかりますので、御家族の方以外は家に戻って下さい」 

みんな胸をなで下ろして家に帰っていった。わたしも一緒に病院を出たのだが、何かが気になっていた。脾臓を無事に摘出したので、出血は止まった。だが、脾臓とは腎臓や肺のように二つある臓器なのか?もしあったとしても、そんな簡単に内臓を摘出してしまっも大丈夫なのだろうか・・・?出血が止まらないから摘出なんて、あまりに安直過ぎないだろうか・・・?

案の定、おばさんは数時間後に亡くなった。麻酔から覚めることもないままに。 これは作り話のような本当の話だ。 現在その病院は高齢者用の入院施設になっている。通常の病院では、医者の腕がついていかなかったのだろう。 みなさんも、病院やかかりつけの医者はしっかり吟味した方がいい。

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